
東京
2026.01.30

みなさん、こんにちは! 今回ご紹介するのは、クルーズ船「ジーフリート号」に乗り、シティポップを聴きながら冬の東京湾クルーズを楽しむツアーです。ツアーのナビゲーターは、ミュージシャン/音楽プロデューサーとして活動するクニモンド瀧口さんとシティポップ・レゲエシンガー/ DJのナツ・サマーさん。クニモンド瀧口さんは、ナツ・サマーさんの楽曲や活動をプロデュースする関係が10年ほど続く、信頼関係の深い仲。音楽イベントにも一緒に出演することも多々あります。


ここ数年、国内外で人気を博している都会的なムードを纏ったシティポップをはじめ、さまざま音楽に造詣の深いクニモンド瀧口さん。RYUSENKEI(ex 流線形)というアーティスト名義で女性や男性ボーカルのアーティストとコラボレーションし、甘くせつない「シティポップ」シーンを届けるアーティストとしても活躍しています。
さらに、1970年代から2000年代という幅広い年代に制作された楽曲群からマニアックな視点で「シティ・ミュージック」を集めた、コンピレーションCDをリリースする活動も長きに渡って続けています。対して、ナツ・サマーさんは、来年10周年を迎える節目の年。そんな二人が改めて差し向かい、出合いのきっかけ、シティポップへの想い、ツアーへの意気込みについて、自由に語り合ってもらいました。
【目次】

_お二人が一緒に音楽をはじめるようになったきっかけを教えてください。
クニモンド瀧口(以下C)_彼女がナツ・サマーという名義で活動する前のアマチュア時代に僕は出合っていて。当時、ギターとボーカルのデュオのようなことをされていたんです。そのときに彼女から音楽的な方向性について相談されたことがあって。彼女のアイデンティティをよくよく尋ねてみると、7月生まれで、愛媛出身でレゲエやシティポップが好き、ということがわかった。だったら、そういう個性を生かしてソロミュージシャンでやった方が良いのではないか、と提案しました。本名にナツが入っていて、じゃあ、アーティスト名は「ナツ・サマー」がいいんじゃないかと命名。ディスコ・ミュージックのディーヴァとして世界中を席捲したドナ・サマーの響きを拝借した感じです(笑)。
ナツ・サマー(以下N)_面白いことをやりたかったので瀧口さんからいただいた提案に乗ってみようと思いました。

_シティポップはどのような流れでお好きになったのでしょう?
N_私の実家の家業は酒屋なんです。それもあって、1年中家でUSEN(有線)が流れていて。そこでいろんな音楽との出合いがありました。加えて、母がシティポップ好きだったのもあり、影響を受けたところも。もっとも影響を受けているシティポップのアーティストをひとり挙げるならば、ユーミン(松任谷由実)ですかね。詞の世界観が大好きなんです。こんなこと言うと、根暗なのがバレちゃいますが(笑)「翳りゆく部屋」には、ずいぶん心揺さぶられました。大学時代には、友だちとレゲエユニットやってみたことも。当時、いろいろなクラブに行って音楽を浴びて、シティポップを吸収していました。

C_小学生の頃、家の隣や裏手に大学生のお兄さんやお姉さんが住んでいて。小学生と大学生という結構な歳の差が開いていたにも関わらず、仲良くしてもらっていました。お姉さんは音楽好きでキャロル・キングとかを聴いていて。対して、お兄さんはシュガー・ベイブやAORを愛聴していた。
当時は、家に鍵をかけていないゆるい時代だったんです。そういう感じなのでふらりと裏のお兄ちゃんの家に行って、勝手にレコードを聴かせてもらっていました。気に入った楽曲をカセットテープに録音して、家に持ち帰って聴いたりして。いま、思えばすごいいい時代。自分にとっての「遊び」といえば、そんなふうに音楽を聴くことだったんです。家には昔から何故か豪華なステレオやオープンリールデッキがあり、それを使って自分で編集作業をして、ミックステープを作っていました。
_今回、東京湾クルーズでシティポップを聴きながら、夜景を見るツアーということで。DJで流す楽曲のチョイスや、ナツ・サマーさんが唄う楽曲はどんなイメージをしていますか?
C_僕が主にDJを担当します。自分なりにシティポップを定義したときに、いくつかキーワードが浮かびます。まず、ひとつは「大人への憧れ」。そうした空気感が音楽の中にギュッと凝縮されている。若かりしときに聴いていた頃は、そういうマインドで音楽に耳を傾けていたけれど、大人になった今、心に浮かびあがるのは「郷愁」なのかな、と。

子どものときはテレビで頻繁にアニメが放送されていたけど、エンディングの曲として選ばれていたものが、いわゆるシティポップだったりして。そういう楽曲を耳にすると、当時のことをふと思い出すこともある。いまは海外の方にもシティポップが幅広く聴かれているくらい浸透していますけど、「アニメを見てた」という原体験はなくとも、どこか懐かしさやグッとくる感覚を共有できる気がするんです。
DJでは、松原みきさんの「真夜中のドア」のようなスタンダードナンバーを織り交ぜながら、心地よい時間を届けたいと思っています。シティポップは夏に似合う楽曲をイメージする人が多いかもしれないけれど、1月の寒い季節感に合う曲を積極的に選びたい。やっぱり、吉田美奈子さんや山下達郎さんの楽曲も欠かせないかな、と。
N_自分は来年10周年を迎えるので、新旧織り交ぜながら自曲を満遍なく歌いたいなと思っています。DJは自分が好きなレゲエもかけられたらいいな、と。夜景に似合う音楽をいろいろとかけたいです。

_クルーズでは、浜離宮越しにきらめく東京タワーを正面に眺められそうです。レインボーブリッジをくぐり、日の出から竹芝へ。浜離宮の灯りを横目に、隅田川を上りスカイツリーを眺めながら、勝鬨橋、永代橋、清洲橋へ──折り返して、再び東京湾へ戻る夜景クルーズ。改めて東京という街を見つめたり、振り返ったりする時間にとても良さそうですよね。
C_そんな時間をみなさんと共有できることが楽しみです。僕は昔から浅草から日の出桟橋の方までクルーズする、というのが鉄板のデートコースだったりして。夕方くらいを狙い始めると東京タワーが見え始めるのですが、「ああ、都会にいるな」としみじみ思うんです。そんなシチュエーションに、大貫妙子さんの「都会」がとても似合う。ときにはストレートに悦に入ることも良かったりしますよね。

_瀧口さんがコンパイルしているシティー・ミュージックコンピ『CITY MUSIC TOKYO』は、マニアックなシティポップに出合える楽しさもありますよね。
C_アートワークには、フォトグラファーの高木康行さんが東京の街を切り取った写真を使わせてもらっています。シティポップというとキラキラしたイメージを持つ方もいらっしゃると思うのですが、高木さんが捉えたグリッドのスケープや、人工的なランドスケープに知的なシティ感が漂っていて。そういうエレメントも、僕が解釈するシティポップの文脈には含まれていると思います。

_ナツ・サマーさんは来年、10周年を迎えられる節目ですが、最近のご活動やこれからの抱負などをお聞かせください。
N_今年リリースしたダブ・ミックスアルバム『NATSU DUB (ナツダブ)』のミキサーには、藤原ヒロシさんはじめ、Dub Master X、e-mura、JAGABE、 ICHIHASHI DUBWISEさんらが参加してくれていて。もともとダブは大好きなジャンルですが、まさか自分がダブをテーマにしたアルバムを出せると思っていなかったのでとても嬉しいですし、満足しています。今回の東京湾クルーズツアーは、2026年の活動の船出と言っていい、特別感にワクワクします。

C_ナツ・サマーは、この10年間の間にいろんなミュージシャンと知り合って、経験をしてきたので集大成じゃないけれど、さらに勢いをつけて、いろいろとやっていったらいいのではないかな、と。フランス、オランダの海外ミュージシャンともコラボを結構やっていて。そういう活動も引き続き積極的にやっていけるといいですね。
_このクルーズが新たな音楽の旅の船出になることを祈っています。ツアーに参加される方は、二人の活動をぜひチェックしてみてください!

クニモンド瀧口(Cunimondo Takiguchi)
PR、アパレル、レコード屋、ライブハウスを経て、2001年から流線形として音楽活動をスタート。近年の世界的なシティポップ・リバイバルの流れで、海外のファンが急増中。古内東子、一十三十一、ナツ・サマーなど、プロデュース、楽曲提供、アレンジで参加。NHKドラマ「タリオ 復讐代行の2人」の劇伴を担当。2024年、アルファミュージックから、RYUSENKEIに改名してアルバム『イリュージョン』をリリース。2020年からシティー・ミュージックを選曲・監修したコンピレーション・アルバム『CITY MUSIC TOKYO』シリーズを各レコード会社から発売。また、CMT Productionとして、グラフィックデザイン、ブランディングなど、音楽制作を中心に多岐に渡り活動している。https://linktr.ee/cmtpro
ナツ・サマー(Natsu Summer)
愛媛出身、東京在住。海沿いに住んでいた幼少の頃からシティポップやレゲエを聴いて育つ。クニモンド瀧口(RYUSENKEI)のプロデュースで、2016年にシティポップ・レゲエシンガーとしてデビュー。7枚のアルバムを発売。作詞家・売野雅勇、DJEMMAとDJ SHIMOYAMAのユニットN.U.D.E、DJ KAWASAKI、フランスのバンドFunkindustry、Five II Four、Tokimeki Records、オランダのバンドKAGAMI、DJ HASEBEの作品にゲストボーカルで参加。透明感、クールでナチュラルな歌声に定評があり、現在のシティポップ・レゲエシンガーの先駆け的存在。2025年9月、藤原ヒロシ、Dub Master Xなどが参加したDUB MIXアルバムをリリース。また、DJとして、須永辰緒、沖野修也、松浦俊夫、MURO、DJ NORI、川辺ヒロシ、田中知之(FPM)、クボタタケシ等と共演のほか、Gilles Petersonがパーソナリティを担当している「BBC Radio 6 Music」にMIXで出演するなど、幅広い現場で活躍中。https://linktr.ee/natsusummer
参加のご応募について/下記リンクよりお申込み下さい。

受付場所は、今回のツアーで船を運行してくれる東京湾クルージングのスペシャリスト「ジール」の自社桟橋「天王洲ヤマツピア」。空港、JR、京急、モノレール、各駅からのアクセスの良さもポイントです。
東京モノレール「天王洲アイル駅」南口より徒歩5分
りんかい線「天王洲アイル駅」B出口の地上より徒歩5分
京浜急行「新馬場駅」北口より徒歩8分
JR「品川駅」港南口より徒歩約20分 タクシー約5分

受付を行ったあとは、ジーフリート号に乗船。出航前に、船内にて今回のツアーのコンセプトや概要についてオリエンテーションを行います。
天王洲ヤマツピア桟橋→新東海橋→京浜運河→レインボーブリッジ
→日の出→竹芝→浜離宮→隅田川(勝鬨橋→永代橋→清洲橋にて折り返し)

「天王洲ヤマツピア」を離れ、船はゆっくりと東京湾へ。レインボーブリッジの光をくぐり、日の出桟橋から竹芝、浜離宮へ──やがて隅田川に入り、勝鬨橋、永代橋、清洲橋へと航路を進めていきます。デッキに立てば、風の匂いとともに広がる東京の夜景。船内ではDJのプレイが始まり、淡く揺れる光に包まれながら、音楽に身を委ねる心地よい時間が流れていきます。

ドリンクはコロナビールが協賛!(数に限りがあります)そのほか、ホットワイン、ハイボール、ウーロン茶をご用意。さらに特別ゲストとして、中延の人気タコスショップ 「みよし屋」 が船内にポップアップ出店。さらに、クラムチャウダーやスナックなど、クルーズのお供にぴったりのメニューが並びます。ゆったりと揺れる船内で、音楽と夜景、そして食のペアリングをお楽しみください。
※この事業は、東京都・(公財)東京観光財団の「ナイトタイム等(夜間・早朝)における観光促進助成金」を活用して実施しています。
協賛:テクニクス、コロナビール
